マクロビオティック和道での食事が特別であるのには理由があります。
それは、夕食時、磯貝先生のお父様・香津夫さまから教えて頂いた現実から分かりました。
「自然栽培で作物を育てている農家さんが100人いたとして、実際に自分の家でその野菜を食べている人は1人の割合」
「なぜ自然栽培をやるのか?それは経済的に魅力だから」
私たちは自然栽培の作物が慣行栽培の作物よりも高価だということを知っています。そして、健康のためにはより自然なものを食べたいという人がいることを知っています。
需要に対して供給が追いついていないため、自然栽培に取り組む方が年々増えている一方で、挫折する人も多い。
「挫折」の定義は、自然栽培を諦め、その他の栽培方法(有機栽培、特別栽培、慣行栽培)との併用(への切り替え)を行うという意味もあります。実際、作物の生育は非常にデリケートですので、自然栽培でのみ生育するには生態系の絶妙なバランスが必要です。人の手も必要という考え方を香津夫さまはされています。
挫折の中で深刻なのは、「自分の家の食卓は自然栽培以外の作物、出荷は自然栽培の作物」という区分ができてしまっていること。
自らが育てた作物を食さずに、他人様に自信を持ってそれを食べて頂けるのでしょうか?大いに疑問です。
自分が作った作物の味を分かっていない方の作物、自分が作った作物の味を分かっている方の作物。
どちらを食べたいと思いますか?
その実態を知るためには現場を訪れることです。
マクロビオティック和道での食事は「天恵の里」の自然栽培野菜やお米を中心に、すべて無農薬、無化学肥料の素材を使っていらっしゃいます。
それを磯貝先生家族は実際に食べて生きていらっしゃる。まさに知行合一。
身土不二とは、言い換えれば、「人間の血肉の基が食べ物である」、ということ。
オーサワジャパンの初代社長・田中フローラ波留子氏が素晴らしい本を書いています。
『食は人をつくり、人をほろぼす―マクロビオティック自然食品と共に歩んだ86年』(かのう書房)
食即人。人は食べ物のお化け。
夕食時の参加者の皆さんからの自己紹介タイムの際に磯貝先生がおっしゃられた和道の紹介説明の折、ポイントとして挙げられたのがこの食材、素材の話。
そして、もう一つが陰陽というモノの見方、考え方。
奥様とお母様が用意してくださったお料理の味付けに陰陽が具象化されていました。
今回は和道では珍しくお酒が出るということで、ご用意いただいたお料理のうち、牛蒡の煮物は若干塩分強めの味付け。
根菜類を食べ、体を温めながら血を作り、お酒の陰との調和を目的にした陽な料理。その実践知を体感できました。
普段は半断食道場として使われる和道ですが、大切にされているのは、「参加される方が自らの陰陽調和を獲得し、自分で自分を癒す力を取り戻す、応援団、導き役としての役割を果たすこと」と磯貝先生。
知行合一、陰陽調和の食材と料理を食べていらっしゃるからこそ、聞いている私たちは頭で理解でき、腹に落ちる。
磯貝先生の重厚な発声でスタートしました参加者の方々との交流会の模様を続いてレポートします。